石沈みて木の葉浮く

石は沈みて木の葉浮く

イラスト文章 つれづれ 学生

雑な近況

【日記】

 一月中なら許されるのではと思っていたが、新年の挨拶を完全にし損ねた。

 なるべく毎日書こうと宣っていたところ月一も危うくなって参りました。まあ、概ねこんなもん。コヨーテコヨーテ。昨今ゲボ寒くて凄いですね。

 以下本編。

 

 本編と言いつつテーマもなしに徒然久しぶりになんか書いてみるだけである。

 一年前の己はたとえば何をしていたかと見返してみれば、一瞬微熱を出していた。愚かである。

一瞬の微熱、ヤバ恐怖 - 石は沈みて木の葉浮く

 昨年において閲覧数が多かったっぽいものは、紅茶味の酒を煽りながら書いた怨嗟と親愛の記事と恩師自慢のものだろうか。取り敢えず復学について怯え続けた末に復学後も暫くべそべそと後悔していたような気がする。ガイダンスを聞いただけで泣きだし、元同期に話しかけられただけで動悸を拗らせ、元同期らの卒論進捗を聞いただけで目を回して呼吸困難になっていたくらいだ。あまりに哀れな生き物と化していた。

 今でもたまに(寒さ・低気圧・疲労・飲酒等条件が重なるにつれ確率上昇)実家との付き合い方を考えていきなり泣き出したりするが、この程度ならよくある話で済むものだ。

 寒さ、低気圧、疲労、水分不足、糖分不足、睡眠不足、日没後、条件が重なるにつれ自身の思考の信頼性は目減りしていく。おーおー何か言うとるわ、くらいで済ませられれば万々歳の歳々万。

 

 大学院進学しようと思ったのは、それが許されたからに他ならない。

 ひと時退学すら望んだというのに、また退学までは行かずとも文転しようかとも画策していたというのに、はたまた復学しながらも卒研をなるべく回避してナメくさった卒業の仕方をして今後人生一切合切理学系には関わらないと決めたというのに、同学問分野に進学したいと吐かしているドアホが私である。一年前の自分の記事を見てみろ、驚き桃の木山椒の木どころではないのでは?

 楽しかったのでそのうち記事で書きたいが、学会に行ってきたのが些細な転機だったかもしれない。そもそも参加必須ではない学会(遠方も遠方)に行ったのは、話したことも殆どない院生の先輩が「石澄君は学会来るのかい」と声をかけてきて迷い出した末だから。学会を見に行って以来、興味ある分野の話を見るたび読むたびに

「卒業したらもうこの話題に関われなくなるのか?」

 と考え、その途端途方もなく寂しさを覚えたのだった。

 大学院進学の動機としてよく挙げられるのが『学び足りないから』が多いとされる。って教授らが言っていた。一年前のアノ私がクソボロに泣きながら呼吸困難起こしかけたガイダンスで言ってた。

(https://agatelastone.hatenablog.com/entry/2022/04/07/014603)あまりに哀れ

 いや私の場合は学び足りないというよりただエラい人々の話をなるべくお得に聞きたいだけなのだ。私の娯楽の一つは、頭が良すぎる人々の語り合いや議論を完全に門外漢として盗み聞きすることだから。

 学生はお得だ。学会だって学割だし。千円くらいかかる座談会にも助教の実績にタダ乗りしてタダ聴きさせてもろたり。アホヅラしてアホみたいな質疑を飛ばしても、これから学びますの体勢なら大体許される。断じて学会の、壇上側に立ちたいとカケラでも思ってしまったからではない。そんな怖いことは思うわけがない、「素人質問で恐縮ですが」をかまされたらマスクを喉に詰まらせて死ぬ自信がある。

 やろうと思えば卒業してから、社会人になってから再度進学するのだって可能である。実際そういう方はいくらでも見かける。しかしそれは可か不可かで見た場合前者であるという話であって、難易度は高いものだ。何が一番問題かというと、やる気がバチクソに削られることだ。

 勉強し直さねば、忘れてしまったところを見返さねば、学費を貯めねば、時間を空けねば、些細かもしれないそんなタスクが積み重なれば、怠惰で諦めがちな自分は何もかも妥協して二度と立とうとはしない。流石に分かってしまったからだ。まだ二十とちょっとしか生きていないというのに、二十を過ぎた頃から既に時間の流れる速度が速すぎると感じている。あと十年二十年もすれば、瞬きひとつしている間に知り合いが一人死んでいるような事態になるのではないだろうか。勿体ねえ、嗚呼勿体ねえとばかりに私は目先の拾えるものを拾っている。

 拾い損ねたものも多大にあり、それらを振り返ると後悔の念に苛まれるが、人生をあと百度繰り返したとしても私という魂はきっとあれら全てを取り落とす。そんな確信があるため、振り返るだけ無駄であると見て見ぬふりをするのが相応しい。できるかどうかは兎も角として、目を向けないのが相応しい。

 私という人間は何もかもが他者にも自己にも救い難いほどに心底碌でもないが、まだ誰も私を殺しに来たりはしない。好きなものを大事にしつつ執行猶予期間を適当に過ごしていけばよかろうて。

 

 しかし修士に行くのであればそりゃあ、研究テーマがいる。いや当たり前。というか普通は前後が逆だ、テーマを携え進学希望をするのだから。何をしよう。まず先行研究読まなきゃ何がやられてて何がやられてないか分からない。論文いつ読むの? 今d

 先日助教が話しかけてきた。

「石澄さん。そのうち修士の研究テーマを話し合いましょう」

「ヒィッ考えておきますまだ何も決まってないです恥入りますツラい」

何してもらおうかなぁ

与えられるタイプ⁉️」

「めちゃくちゃいっぱいあるよ。えへへどれやってもらおうかな」

「私より楽しそう……」

 きっと助教の頭の中には手を出したいテーマがいっぱいなのだろう。私はこの助教が大好きなので、それにあくせく貢献できるならと考えると心底光栄であるなと思うのみ。

 

  石澄香

 

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