石沈みて木の葉浮く

石は沈みて木の葉浮く

イラスト文章 つれづれ 学生

家の中になんかいる

 季節外れの怖い話をする。

 

 以前よりうちの家は、私ではない何かがいるような気がしている。事故物件ではない。近所に墓場もなければ古墳もない。

 なんか居る、そんな予感がするのは被害妄想ではない……何故なら私はこのなんか居る感覚に関して全くビビっていないからだ。GブリやAダカグモが突如出現することや、主要家電のいずれかがぶっ壊れることのが余程怖い。他でもない私自身がこれを危害であると感じていないならば、それは被害妄想ではないのである。

 

 例えば玄関付近のセンサーだ。

 家の中では一番暗いし、家を出た時家に帰った時しか基本的に用がないので、曖昧な感覚として比較的怖いのは玄関。うちの玄関の場合、加速度センサーがついているのか一々ライトをオンオフする必要がなくて便利である。

 このライト、時々謎に付けっぱなしになる

 一応スイッチは存在して、『常時オン』『常時オフ』『センサー感知時のみオン』の三種で切替ができるので、もしかしたらうっかりスイッチを『常時オン』にしちゃっていたかもしれない……と思っていた時期もあった。しかし前に泊まりで友人がうちに遊びに来た時、友人がいる間のみライトがつきっぱなしになり(玄関に誰もいないのに)、友人が帰った途端スゥッと消えたのだ(スイッチ触っていないのに)。

 果たしてうちの玄関には何が居るというのか。

 

 それから大した話ではないが、帰省から戻った時トイレに勝手に鍵がかかっていたことがある。

 外からコイン使って回せば開け閉めできるタイプの単純な鍵付きドアノブだが、逆にコイン使って回さないと外から閉めるのは無理な筈なのだ。帰省前にそんなわざわざ外から鍵かけて出るわけがないし、そもそも基本的に私はトイレに鍵はかけない。こればかりは謎だった。

 不審者という意味で怖かったので、武器を持ちながらそのトイレと風呂場とクローゼットとベランダを確かめたが、別に誰もいなかった。いたらやばい。この世で一番怖いの生きた人間ですからね。

 

 最後にこれは最近よく感じているヤツだが、風呂入ってる最中に誰かがドアを開けているような気がするのだ。

 うちは非常に寒い。脱衣所も風呂場もキンキンに冷えており、ヒートショックで死なないように気をつけながらシャワーを浴びている。寒い浴室で熱いシャワーは最高……だが……最近目を閉じて頭を洗っている時、不意に足に冷気を感じるのである。そう丁度、そっと浴室のドアを開けられ脱衣所方面から冷たい空気が這入りこんできて……私の素足を撫でたかのように?

 勿論やはり家中を刃物持って捜索するのだが何も出てこない。というか戸締りちゃんとしてるし。

 

 幽霊系には遭遇したことがないので信じはしないものの、人並み以上にビビリではあるのでそれなりにビビることもある。

 そういう時に最適なのは、アホな歌を熱唱しながら家を練り歩くことである。『ああエキセントリック少年ボウイ』とか ご機嫌にアホな歌詞の歌を歌っているヒューマンを襲う怪異がおろうか? いまいて。

 

  石澄香

 

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