石沈みて木の葉浮く

石は沈みて木の葉浮く

イラスト文章 つれづれ 学生

己への宛名で「誰だお前!!!!!」

 名前をむっちゃ間違えられる。

 私はカスピ湖の如く寛大な精神、そしてコンゴ川の如く深き懐を持っているので名前を間違えられること自体にいちいち腹を立てたりはしない。ただただ分からないのだ、何故ひとは私の名前を間違えるのか……?

 

 復学届を学務の顔面に叩きつけるべく、私は教授らからサインを貰わねばならない。大学の方から「お前復学するのか?継続休学するのか?退学するのか?」と態々態々実家に封筒を送りつけておいて復学届にサインが必要だなどと……しかも三人も……「よく考えて相談してね!」などと書きやがって……。急かしておいて何が「センセーたちとそうだんしてよくかんがえてきめるんだよ!」だ巫山戯るな……(暴論)。

 まぁ仕方がないのは仕方がないし、このような高等教育機関に通えるのも人生またとないことであるし、私のように鍋のフチに溢れて火に炙られ炭と化す野菜片のように矮小な存在はエラソーなクチを聞ける立場ではない……。中学レベルの数学確率問題で爆死するくらい頭が弱った己でも(今日の日記)、決めたものは決めたんだからこうべを垂れて復学させてくださいと言いにいかねばならぬのだ。兎に角そういうことで「サインを貰いに行っていいっすか」とメールをしたのだが、約一年ぶりに某教授とやり取りをして思い出したのだ。

 嗚呼このおじさん絶対私の名前間違えて書く人だったわ───────

 

 そんな恐ろしい苗字はしていない。全国に数百人程度の珍しさらしいが、使用する漢字は全て小学校で習う常用漢字、とても読みやすいものだ。だというのに間違えよるのだ。何故!?

 この私が本文の最初の名乗りと最後の署名で二回も名前を書いているというのに、その返信の頭につける私への宛名でものの見事に間違えはるのだ。何故!? 学生の卒論読み過ぎて疲れてますか!?(最有力)

 

 中学の頃にも体育教師に何回やっても名前を覚えてもらえず苦労した気がする。名簿を持っていてそれを読み上げているにも拘らず、石澄を石橋と呼ぶような見当違い過ぎる間違いを五回以上されたことがあった。

 三回目を超えた頃には、彼女は私の顔を一目見て「あっ、いつも自分が名前を間違えてしまうあの子だ……」と認識をしている様子で、「今度こそ間違えまい……」とよくよく熟考する顔を見せつつ、十秒ほど悩んで最終的に私を自信満々に指差し言ったのだ。

う〜ん石橋 !!!!!

石澄 ですァ!!!!!!!!

 何に苦労したかってその体育教師に辟易したのではなくて、クセでノータイムツッコミをしてしまうことにより毎回周囲の爆笑を誘ってしまうのが些か不本意であった。ボケてウケるのは光栄なのだが、特にその頃の私はやさぐれていたのでボケてもないところで好きでもない者どもからバカウケするとキレた。

 

 ああ一点だけ、名前関連で未だにたま〜に勝手に密かに個人的にキレるところはある。

 石澄右澄と書かれるみたいな書き間違え。トメハネハライをちゃんとしろ。

 ※一時期習字をやっていたので平均より几帳面な性格

 

  石澄香

 

【Today's 私の好きなもの】

 鶴橋キムチ