自慢ではないが、当方は電車の乗り間違えや時間間違え、遅刻などはあまりしないタイプの人間である。
「ちゃんとしとるね」と褒められることも相手によってはあるものの、それは私が有能だからではない。早過ぎるくらいの時間設定をするのは確かに私の性分であるが、電車の乗換云々を把握するのは私の能力ではない。
スマホ及びインターネット、そしてGPSという発明があまりに画期的すぎるから。
まぁそれ即ち、スマホもしくはインターネットもしくはGPS───これらのいずれかが使い物にならなくなった場合、連動して私も使い物にならなくなる訳だ。
そう簡単にバグったり壊れたりする代物じゃあないが、私が普段使いしている地図アプリ、かなりシステム的に私を騙くらかしてくる。
しかも場合によってはやや姑息なのだ。どうしてあんな風に罠にはめてくるのか。
初めの一度目はスマホ自体使い始めの頃だ。
そもそもスマホで見る地図と紙で見る地図の最大の差は、リアルタイムで表示される現在地マーク。また、スマホの向きが地図内の現在地のわきに連動して表示され、地図上で見て自分がどっち向いてるのかが分かる便利システムでもある。
が、割と最近まで(少なくとも私のスマホのは)実際私が向いている方向の180°真逆を指しよると気付かなかった。東京都内のめちゃくちゃややこしい駅周り(歩道が立体的に入り組んでるとこなど)の地形で、だ。
しかもこの時、なんだったかそこそこ大事な試験を受けにはじめての地域へ一人で訪れていた時のこと。時間にしこたま余裕を持って行ったので事なきを得たが、かなり肝を冷やした。この時から地図アプリの“自分が向いている方向”は本当に信用しないようにしている。
二度目は些細ながらも一番キレたことだった。
ヤマトの直営店にちょいとばかし用事があって、行ったことがなかったそこへ歩いて向かった時。随分住宅街を練り歩かせ、最終的に案内されたのは目的地の真裏だった。
確かに看板は見えるがそこやないのよ。
もちろん裏から入れるタイプの敷地構造ではなかった。表の入り口へ回るのにまた住宅街を練り歩く必要があり、結局プラス二十分かかった。正直許さん。そう言いつつも面倒くさがってこれ以降も地図アプリの乗り替えはしていない。
で、三度目はつい最近だ。つい先日。だからこの記事を書いている。
年末年始の公共交通機関は休日ダイヤで運行するものだ。無論そんなことは把握しているし、地図アプリ君自体も珍しく親切に
「休日ダイヤだから気をつけるんだよ」
と表示してくれていた。が。
いや……思い返せば私の認識が甘かっただけかもしれない。というか地図アプリのせいにする以前に、何もかももとを辿れば私が至らぬが故発生する過失ばかりなのやもしれぬ。
しかし「休日ダイヤだよ」と言っている地図アプリ君がそうやって表示していたバス時刻、まさか平日ダイヤのものだと思わなかった。
だって考えてみてほしい。「年末年始のこの路線は休日ダイヤ」と地図アプリ自身も認識して、それをユーザーに勧告までしてくれたというのに表示する時刻表が平日ダイヤというのは些か罠だと言わざるを得ない。来る頻度から察せないかと？ 普段住んでないところの使ってない路線に関するお察しばかりは勘弁してほしい。この悔しさ何に喩えられる？ いい比喩が思いつかない、思いつくには書いている今やや頭が足りない(日誌書きに二日三日空けたくないからやや急ぎめに書いている)。
ブラウザで見られる○ビタイムもいつの間にか微妙過ぎるところから有料版への誘導が入る。オブラートに包んで言えば、“多様な悪態が無限に出る”感じの仕様と化していた。昔からこうだったっけ？ まぁ便利システムに相応の使用料を取ることについては異論はないが、久々の時刻表勘違いでパニクった阿呆の前でされると深刻にキレるんですよ。
他にも未だ慢性的に続いているのは、『目的地一つ手前のバス停で降ろさせて歩かせようとする』こと。正直一番意味分からん。
つまり例えば○○駅に行きたい私が『○○駅行き』と表示があるバスに(特に乗換もなしで)乗った時、○○駅の一つ手前の□□センター前みたいなところのバス停で降りるルートを提示してくるのだ。
なんで？？？
明らかに○○駅まで行ってくれるのは明白じゃあないか。
と。書いていて今ちょっと思い至ったのだが。
もしや私の一日あたりの歩数が50歩を下回っていることを、地図アプリ君は考慮しておられるのだろうか？
マジでこんな感じなので。
この私の引きこもり運動不足寝たきり具合を加味して、ほんの少し歩いてみろと言っているのか？
いや。
それはヘルスケアアプリちゃんの仕事なんよ(地図アプリ変えます)。
石澄香
